不倫サイトでの人妻たち

様々な人妻と出会ったエピソードを紹介しながらなぜ人妻は不倫をしようと思ったのか分析しているブログです

初恋

「遅くなってごめーん」

集合時間から30分遅れて申し訳なさそうな顔をして僕の前に現れたのはC子だった。

C子はラインの返事は遅かったがご飯に誘ったら割とすぐにOKを出してくれて、日程も直近の空いているところですぐに決まった。

だらだらとラインするよりも直接会って話したい派だという。

「お店どこにしようか?」

とお互い店はその場で決めればいいよねとなり、集合してから探して入ることにした。

「ここの複合ビルにたくさんお店あるからそこで決めようか」

と全く人目を気にせずC子は言う。

この潔さに僕は少し驚いた。人目を気にする必要がないくらい旦那と関係が終わっているのだろうか。集合場所も人が多い大きな主要駅だった。

実はC子とはほとんど会う前にやりとりしていないから事前情報が全然ない。

ビルに入って。何軒か店を見たあと、ここにしようと二人の意見が一致した店に入った。

「早くビールが飲みたーい」

とC子が上着を脱ぐ。

上着を脱いだC子の服は肩が露出していた。

僕は一瞬そのエロさにテンションが上がったがすぐにどん底へと突き落とされた。

彼女の肩にはタトゥーが見える。

会う人を間違えた。と僕は今更後悔してしまった。

「ビール2つください」

だが、僕はここで過剰に反応してはいけないと思い、平静を装いながら注文した。

なぜか話したら負けだと思いタトゥーにもあえてふれないようにした。

タトゥーが入っている女性と会うのは初めてではないが人妻となると話は別だ。

彼女と結婚したということは彼女の旦那はタトゥーが入っていても受け入れるほどの人だ。万が一僕ら二人が一緒にいるのが見つかったときにはどうなるのだろうか。

とコンクリート詰めにされてどこかの湾に沈められている自分の姿が一瞬頭をよぎる。

早く帰りたい思いと一体この女性はどんなバックグランドを持っているのか?と知りたい思いが僕の中で交錯する。

「ごめんねぽちょのこと全然知らないから色々聞いてもいい?」

ビールが運ばれてきて乾杯したあとに可愛らしく彼女は聞いてきた。

そのあどけなさが意外にもギャップで僕は不意打ちをくらった。

もしかしたらこの人は僕の想像している人と全然違うのかもしれない。

「じゃあ俺も色々質問するね」

と軽く自分について自己紹介をしたあとに僕も質問をした。

「C子全然人目気にしないけど旦那さん大丈夫なの?」

と僕は一発目で少し厳しめな質問をしてみた。

「うち旦那がオーストラリア人で旦那の友達もこっちにいないから全然大丈夫。しかも今彼は一人暮らし中だしね」

なるほど、外国人だとタトゥーにも寛容なのかな?と僕は納得したと同時に。外国人の方が不倫に対して激高するイメージがあったので、今度は僕が旦那に胸ぐらを掴まれて殴られているシーンを想像した。

もう少し詳しく聞いていくと、C子は子供が3人いてしかも20歳で授かり婚をしたという。

「親にあなたなにしてるの?と呆れられちゃったよ」

と苦笑しながらC子は言う。

そこから子供が3人産まれたのはいいが、なんと旦那が職場に近くなるから言って一人暮らしを始めたのだ。しかもそれが今の家から電車で40分ぐらいの距離だとのこと。

「もう笑っちゃうよね。最初はこの人何考えてんだろうと思ったけど、あとからどうでもよくなって、今ではすっかりな慣れちゃったよ」

僕はその彼女にさらに興味が湧いてもっと質問することにした。

「旦那さんは家に帰ってこないの?」

「月に一回ぐらいは帰ってくるかな。でも4人での暮らしに慣れているのに帰ってきたときだけ育児に対してもんくを言われるのはイライラするな~」

と彼女は笑いながら話す。

すごいポジティブだ。

気が付いたら僕が子供や嫁の愚痴を言ってもC子はすべてポジティブに返してくる。

「子供がわがまますぎて全然言うこと聞いてくれないんだよね。ちょっと怒るとすぐもう泣くからねとか言って脅してくるんだよ」

と僕が愚痴を言っても

「お子さんめっちゃ可愛いね~むしろいっぱい泣いていいからねとか言っちゃいそう」

とC子はここでもポジティブに返してくる

そんなやりとりをしていて僕はいつの間にかC子ともう少しいたいと思い始めるようになっていた。

そして彼女に2軒目にコーヒーを飲まないかと誘った。

ぼくらはコーヒーチェーン店に入った。

主要駅のカフェということもあり隣との間隔が狭い。しかもほとんどの席が埋まっている。

それでもお酒も入っていることもあり、僕は人目を気にせずC子と会話を楽しみたかった。

「なんで相手を探そうと思ったの?」

と僕はC子が不倫をしようと思った理由を聞いた。

「私子供を産むのが早かったから全然恋愛らしいことしてなくて。で旦那は遠距離だし、子供もある程度大きくなって、ふと私なんで我慢しているんだろうと思ってサイトに登録しちゃった。」

「さらに自立しなきゃと思って来月から仕事も始めることにしたの」

と彼女は答えてくれた。

その後もぼくらはお互いの家庭や恋愛観など色んなことを話した。

「もうこんな時間だ。帰らなきゃ」

と彼女は時間を気にする。

「じゃあそろそろ帰ろうか」

僕らは店を出ることにした。

彼女を改札まで送り届けた際に

「ぽちょ今日はありがとね。久しぶりに楽しかった」

「ぽちょとならいい友達になれそう!」

一瞬友達という単語が引っ掛かったが僕はその時には特に深くは考えず帰路についた。

帰りの電車の中で僕はドキドキしてまたC子に会いたいと思うようになっていた。

久しぶりの感覚だ。

まさかこの歳で誰かを好きになるとは思わなかった。

でももう一度会ったら僕らは恐らくセックスして、そのまま不倫関係になるだろう。

そしてこの調査もそれで終了だ。

そんなことを考えつつ、僕の手は無意識にスマホを取り出し、C子にラインを送っていた。

「今日はありがとう。楽しかった。またご飯行こうよ!」

と僕が送ると、C子から少しして返事がきた。

「ぽちょもありがとう。楽しかったよー。ただ今はちょっと忙しいからまた日程分かったら連絡するね」

その返事がきた瞬間に僕は一瞬フリーズした。

そして僕のドキドキは落胆に変わっていった。

女性の日程が分かったら連絡するねは基本的に連絡はしない。もう会うことはないと同じだ。

そして僕は「ぽちょとは友達ね」の意味をここで理解した。

楽しかった時間だが、彼女の中では僕は恋愛対象外の烙印を押されていたのである。

こうして僕の人妻相手の初恋はあっけなく終わった。

そして僕はすべてを忘れるかのようにC子とのラインを消した。

セカンド彼氏

今日はS子との出会いについて紹介したい。

年齢は30代後半、身長は160cmでかなり細身。子供はいなく、容姿は崩したような高岡早紀に似ている。

「ここでのみお話できる人を探しています。会うつもりはありません」

とプロフィールに書いている。強気なプロフィールだなと思った。

あまりこのようなタイプの女性は得意ではないが話を聞いてみたいと思いライクしたらしばらくしてマッチングが成立した。

似たタイプの女性は普通のマッチングアプリでもたまにに見かけることがあった。

男は料金を払ってまで会おうとしているのにここで暇を潰すだけってどういうことだろうと最初は僕は彼女らを理解できなかった。

ただ、その後何人かと話していくうちに彼女らの攻略法が見えてきた。

彼女らは本当に話し相手を探していた。そして多くの場合は彼氏持ちか既婚者で、パートナーにあまり相手にされないから寂しさを紛らわすという理由が多かった。

そのときは「会おうよ」と無理に誘わずに、僕はただひたすら彼女らの話を聞いた。そして運よくそのまま仲良くなると会ってもらえたのだ。

もちろん中にはただ話したいだけで会う気がない女性も多かった。むしろ割合としては会えない女性の方が多い気がする。

だからその話した時間をどう捉えるかはその人の価値観によるだろう。

S子に対しても僕は普段実践していたスタンスで接することにした。

案の定、本当に話したいだけだからなのかS子のレスポンスは非常に早く、送ったらすぐに返事が返ってきた。

僕は最初、彼女は旦那に相手にされないからここで相手を探しているのではないかと思っていた。

だが、その予想はすぐにいい方向に裏切られた。

「旦那さんとは関係はいいの?」

と何気ない会話の中で聞いたら。

「普通に関係はいいよー」

と予想外の回答が返ってきたので

「じゃあなんでこのサイトをやっているの?」

と思わず僕は変な質問をしてしまった。

「彼氏が相手をしてくれないの」

と彼女の返答に一瞬僕の思考が停止した。

「旦那さんとは別に彼氏がいるの?」

と僕は聞いた。

「そーだよー」

「じゃあここではセカンド彼氏を探してるんだね」

とぼくは冗談を言ってみたがS子に見事にスルーされた。

とりあえず彼女は旦那と彼氏がいるだけでは物足りないタイプだった。

なおさら頑張ればS子と会える!と根拠のない自信が湧いてきた。

旦那との関係がいいということは2人目のエロ目的の人妻の可能性があるのだ。

とりあえずこのパターンでは相手が即レスの場合は会話が盛り上がっているうちにこちらも即レスが僕の中では鉄則である。

ただ、ずっと会話が盛り上がるのは難しいのでやり取りをする時間を決めて短期集中型で勝負をする。

S子の場合は大体10時ぐらいに返事が返ってくるので何日かその時間に集中して会話をした。

ただ、そのまま遅くに始めて夜中に終わり翌日寝不足で起きたとき僕は何とも言えない虚無感に苛まれた。

いつでもマッチング解除して僕の前から消滅してしまうかもしれな女性に僕はなぜ時間を使っているのだろう。

会話を続けていくうちに電話までもっていくことができた。

これで出会って話を聞くというゴールまであとちょっとだ。

そして僕は彼女を2回目の電話で食事に誘った。

「私会わないって言ったでしょ」

とS子はいたずらっぽく言う。

「もうスケジュール帳にS子とご飯に行くって予定入れたんだけど」

と僕は負けじと押し切る。

「じゃあいつが空いてるの?ちょっとだけね」

とついに彼女は折れて会う約束ができた。

そして当日になってS子は現れた。

彼氏との関係について聞きたくてうずうずしている僕は早速お酒を注文して、軽くお互いの自己紹介をしてから彼氏との関係について聞いてみた。

「彼氏とはどれくらいの頻度で会うの?」

と僕は聞いた。

「最近はちょっと減ってきて月に1回ぐらい。本当はもっと会いたいんだけどね」

と彼女は寂しそうに答えた。

「それ彼氏のことめっちゃ好きじゃん」

と僕はなぜか少し彼氏に嫉妬してしまった。

「やっぱ好きなのかな。確かに昔は連絡がきただけでも泣いたからね。しかも彼氏の方は奥さんと仲が悪くて別れたがっているみたい」

正直僕はS子が既婚者でホッとした。

この状態でS子が独身だったら「近いうちに離婚するから」とか男が言って、女性が沼にはまっていくパターンな気がしたからだ。

「でも旦那さんも好きなんでしょ?贅沢だね」

「旦那とは仲がいいんだけど、夜の相性の方が全然だめで、逆に彼氏はすごく相性いいの。」

と彼女は話してくれた。

S子は旦那とは出かけたりもするしたまにセックスもするくらい仲がいい。むしろ旦那が優しすぎて困るぐらいだという。

ただ夜の方が全然ダメで、このサイトで探していたら今の彼氏と出会ったのだそうだ。

「身体を相性がそんなにいいの?」

とお酒が入った僕はエロティックな方向に質問をする。

「身体もだけど一番いいのは旦那とできないプレーができるの」

そうきたか!

前のめりになりそうな自分を抑えながら僕はこれは最後まで聞くしかないと思い、羞恥心を捨て押しの質問を投げかけた。

「どんなプレーするの?」

と僕は早口で聞く。

「お尻が好きなの」

「あれ、ぽちょもしかしてそいうの興味あるの?私今日まだ時間あるよー」

と彼女が少し上目遣いでいたずらっぽく聞いてきた。

これは予想外の返事だ。

いや、このようなエロティックな話をしている時点でこの展開は簡単に予想できたのかもしれない。ただ僕が彼氏の話に集中しすぎて頭からこの展開が抜けていた。

そしてなによりそっち方面は僕は経験がない。

急にチキンになった。でも断らなければ。

緊張が僕の中を走り、乾燥しきった口の中から唾を飲み込む音が全身に伝わってくる。

「ごめん、今日嫁に遅くなるって伝えてないんだ・・・」

なんともアホな言い訳が僕の口から出た。

会社の飲み会を断るわけじゃあるまいしこのシチュエーションで嫁を言い訳にするのは格好悪すぎる。

「ちゃんと夜会う時は奥さんに言っておかなきゃ」

僕が行く気がないを悟ったからか、それともただ僕に興味がなくなったからかそのあとの彼女はかなり冷めていた。

そして会話も大してその後盛り上がらず僕たちは解散した。

 

 

 

 

 

 

 

 

海の向こうから

次はスーとの出会いについてご紹介しよう。

名前でお気付きだと思うが、スーは中国人だ。僕の初めての外国人とのマッチングである。どうやら不倫に国境はないようだ。

スーは日本人と結婚しており、日本への留学経験もあるため日本語は完璧だった。プロフィールにもそう書いてあるが、実際に話してみると日本人と話しているようだ。

お互いの職種が同じだったということもあり仕事の話などで会話は盛り上がった。写真も見せてもらったが雰囲気がビビアン・スーに似ている。年齢は20代後半でこのサイトの中ではかなり若い。写真を見てぜひ彼女に会いたいと僕は思うようになっていた。

しばらく無難な会話を続けご飯に行く約束をした。

だが、ここから問題が発生した。

日程が合わないのである。

人妻の会いやすさを簡単にカテゴライズすると、もちろんだが子供が大きければ大きいほど外に出やすい。さらに相手が仕事もしていると平日の仕事終わりにも会うことができるのでほとんど密会に支障はない。

実際に僕が今まで会った人妻たちもみんな子供が中学生以上で、仕事もしている人が多かった。

だがスーの場合は子供がまだ幼稚園に行っている。しかも週に3日しか行っていないのだ。

さらに幼稚園に行き始めたばかりなので毎週のように体調を崩す。

実際に一度目の日程が決まった後に

「ごめん!子供が熱出て厳しいかも」

と密会が流れたこともあった。

時間も子供のお迎えが13時なので実質平日の10時~12時ぐらいの間でしか会えないのである。

この困難が僕のやる気をさらに引き立ててくれる。

そして僕は決心した。今月2度目の有給を使おう。

普段有給を使わない真面目に出社している人間が月に2回も有給を使うとさすがに同僚も気になるようだ。

「ぽちょさん有給珍しいですね。何か趣味でもできたんですか?」

と同僚が聞いてくる。

「まぁそんなところだね」

と平静を装い、僕は苦笑いをしながら答える。

なにも嘘はついていない。

当日は大きなターミナル駅でランチすることになった。半個室のカフェを予約した。

会ってみると写真の通り美人だった。

僕のテンションが上がる。

「予定合わせてくれてありがとう」

と彼女は僕に笑いかける。

「今日彼女に会えてよかった」

心の中でそう思いながら僕はにやける。

お店に入って料理を注文しようとしたら

「お酒飲むね」

と彼女はビールを注文した。

「お酒飲んだらお子さんのお迎え大丈夫?」

と僕はその注文に不意をつかれて思わず聞いてしまった。

「そんな1,2杯じゃなにも変わらないから大丈夫。私お酒好きなの。しかも一緒に飲める人があまりいないからこういう時に飲みたいの」

と彼女は返す。

確かに強そうだ。と同時に飲みたい理由になんとも言えない気持ちになった。

そして僕はそんなにお酒は強くない。しかも今日は仕事に行ってることになっているので嫁に一切アルコールについて悟られるわけにはいかない。

しかし、ここで逃げるわけにはいかないという変なプライドが僕の中に現れた。

「私も生一つお願いします」

と気が付いたら生を追加で頼んでいた。

「実は私ぽちょさんがこのサイトで初めて会う人なの。ほとんどデートの経験もないからめっちゃ緊張する」

と彼女は話し始めた。

この発言は意外だった。正直彼女ほどの美人だと出会いはたくさんありそうだ。

今の会話のチャンスを逃すまいと僕はそこを切り口に彼女のバックグラウンドについてもう少し詳しく聞くことにした。

彼女は今の旦那と8年付き合った上で結婚した。そのためほとんど異性との経験がないという。遠距離恋愛の期間も長かったという。

「その間浮気とかしなかったの?」

と少しいたずらっぽい質問を僕は投げかける。

「その時は全くしなかったの、今思うと少し遊んでたほうがよかったかな」

と彼女は少し残念そうな顔をして答える。

その間旦那は毎日のように電話してくれたり、中国まで会にも来てくれたので彼女は旦那のことが大好きで一筋だったという。そしてそのまま結婚して日本で暮らし始めて子供ができたのだ。

でも旦那はかなりの仕事人間で出産後はあまり相手をしてくれないし育児も手伝ったくれないのだ。

「日本人男性は釣った魚に餌をやらないね」

この彼女からの思いがけないフレーズを聞いて僕は少し笑ってしまったと同時に、異国に来て一人で育児に奮闘している彼女を想像したら可哀想にもなった。

彼女は頼れる人がいないのだ。

ここで1杯目のビールをお互い飲み干したので2杯目を頼むことにした。

「じゃあ今は旦那さんと夜の営みはないの?」

アルコールが僕の脳を段々麻痺させて彼女に対する質問を大胆なものにしていく。

「全然ないの。何回か誘ったけど旦那は仕事で疲れたと言って逃げてばかり。それでまだ女を捨てたくないと段々思うようになってこのサイトに登録してみたの」

と彼女は寂しそうに言う。

これまでの僕の不倫する女性のイメージは、かなり異性と遊んでおり、結婚してからも刺激が足りない人が不倫をするというイメージだった。

しかし今のところ僕の想像は間違っており、どちらかと言うとあまり恋愛経験がない女性が不倫をするパターンの方が多い。

自分が疎かにされたときに彼女らは後悔の念が出てくるのだろうか。

その間スーは3杯目のビールを頼んだ。

つられて僕も頼む。ここまできたら2杯も3杯も大して変わらないだろう。

彼女に影響されて僕の思考も楽観的になっていく。

そこからもう少し話して僕たちは解散することにした。

会う前は楽しみにしていたが、会ったあとは異国で旦那の助けもあまり望めず、飲む相手もいない中で子育てに奔走している彼女の境遇を知ってなんだか切ない気持ちになった。

僕の気持ちとは正反対にアルコールが元気よく体の中を走り回っている。

今日は酔い覚ましに散歩でもして帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

性欲の強い人

何気なくサイトを開いたら、マッチングの通知が一通きていたのでチェックした。

僕は相手を見て思わずガッツポーズをした。これがY美との出会いだ。

Y美のプロフィールの写真は豊満な胸の谷間を載せており、紹介文にも相手に求める条件で「性欲の強い人」としっかり書いてある。

そう!ついに念願のセックス目的の人妻とマッチングしたのだ。

よく人妻との出会い系サイトでは男性ユーザーを集めるために欲求不満の人妻があなたを待っているといったようなキャッチフレーズが使われているので、人妻はセックスに飢えているというイメージを持っている男性も多いかもしれない。

実際僕もその全てを鵜呑みにしていたわけではないがそういう女性も結構いるのではないかと思っていた。

しかし、ここまで会ってきた人妻たちのように性よりは女として見られたい。恋愛をしたい。心の隙間を埋めたいといった目的の女性が大半であり、彼女らの出会いにおいてのセックスの優先順位は低かった。

そうだろうなと思いつつ僕は少し寂しい気持ちになっていた。一人ぐらい、セックスがしたくてたまらない、性欲があふれ出ている人妻がいてもいいのではないだろうか。

そこにY美とのマッチングである。なんとしてもY美に会いたい。Y美から話を聞きたい!

会わないといけないプレッシャーを段々感じるようになってきた。スマホを握る手が汗で湿ってくる。

とりあえず会話の入りは慎重にいくことにした。

こういう場合は間違ってもストレートに「エッチしよう」とか「身体エロいね」といった性を連想するワードを本人に言ってはいけないのである。

前に会った人妻たちに聞くと、このサイトは男性は有料とはいえかなりのライクがくるのである。つまり彼女らから男性は選んでもらわないといけないのだ。

そこに何人もの初対面の男性から性的な連絡がきたら女性は嫌になる。

もちろん自分が「エッチしよう」と相手に送ってOKもらえるぐらいのイケメンだったら回り道をせずにストレートにいったほうがいいが残念ながら僕はごく普通の顔の身長だけが平均より少し高いサラリーマンである。急がば回れだ。

男性からしたらエッチな写真を載せておいてと思うかもしれないがこれはそういうものだと割り切るしかないのである。

とりあえずY美は他にも景色の写真とかも載せていたのでそこから話を広げて旅行の話や家庭の話をしながら5日ほどやりとりを続けた。一定の間隔で返事が返ってくるし盛り上がりにもムラがなかったので食事に誘ったらOKが出た。

ただ、ここで問題が発生したのである。

Y美は専業主婦だから平日の昼間しか会えないのだ。でも僕は土日休みだ・・・

これほど自分が土日休みなのを悔やんだことはなかった。なんとしてもY美に会いたい。

サイトの相手を見て思うが専業主婦が多い。そして専業主婦人はたいてい平日の昼間しか会えないのである。

ここは頑張るしかないと思い、嫁には仕事に行くと嘘をついて有給を取った。

店は普通のカフェでもいいということなのでお互い駅の近くでどこかに入ればいいだろうとなった。喋っていてパワフルな感じがするのでY美もまわりをあまり気にしないタイプなのだろう。

当日になり罪悪感とわくわく感が入り混じりながら家を出た。

駅でY美と合流した。ぽっちゃりしている。身長は155cmほどで柳原加奈子といったところだろう。

そして案の定テンションが高い。

僕が

「テンション高いね、何かいいことあったの?」

と聞くと

「私いつでもこうなの、家では旦那は黙っていて私と長男だけ喋っているの」

と楽しそうだ。

とりあえず近くのカフェに入った。オフィス街ではなく平日の昼間ということもあったので人は少なく、お店でまわりに人がいない席に座れた。

料理を注文して、ある程度自己紹介などをしたあとに早速僕が聞きたかった話題について聞いてみた。

「プロフィールの写真すごいね!性欲も強い人求めてるの?」

それに対して彼女は

「そうそう!私が性欲強いんだけど、旦那はかなり淡泊でエッチの相性が合わないから全然してないの!で、ちょっと前まで彼氏がいたんだけどその人が転勤になったから別れちゃって」

やはりセックスを求めている人妻もいた!と内心僕は喜んだ。

そこでもう少しいろいろ聞いてみることにした。

「彼氏いたんだ!?その人との関係は長かったの?旦那にはバレなかった?」

彼女は

「4年ぐらい続いたよ。全然バレなかったよ。私隠すの得意だから」

と可愛いらしい笑顔で答えた。

なぜかキュンとしてしまう。

そのあとも聞き取り調査をしたのでY美について少し紹介しよう。

Y美は旦那と地元どうしで結婚し、旦那と息子二人の4人暮らしだ。

休みの日になると家族でキャンプとかにも出かけるし家の中でも誰かが常に喋っているから暖かい家庭で家族仲も良好だ。本人もそれに不満はない。

ただY美が言ったように旦那とセックスの相性が最悪なのである。そこで性欲の強い彼女は性欲を満たすために相手を探しているのだ。

元彼も最初は淡泊だったが、次第にY美が調教して積極的なセックスをするようになった。特に最後の2年間はかなり楽しかったから別れたことを残念がっている。

「別れてからも1年ぐらいは相手がいなかったけどやはり楽しいエッチがしたくて」

と彼女は言う。

それでまた性欲を満たしてくれる相手を探し始めたのだそうだ。

ただ、新しい相手を探すとなるとさすがにこれからまた時間をかけて調教するのは面倒なので最初から性欲が強い人がいいとのことだ。

もちろん誰でもいいわけではなく特にこのような不倫相手を探す場合は秘密を守れるような人とか危なくない人と、相手をかなり見ると言っていた。

「あんな写真載せていたらお誘いたくさんくるでしょ?」

と聞いたら。

「めっちゃくるよー、変な写真を送ってくる人もいる。だからちゃんと話せる人か見てる」

と返ってきた。ただ、イケメンは例外らしい。

そのまま少し喋って解散することにした。

今回会ったY美は家族仲が悪くないためかほとんど旦那の愚痴は出てこず非常に話しやすかった。その分僕も話していて楽しかった。

たまにサイトの募集相手で夫婦仲がいい人と条件を付けている人がいるがなんとなくその人の気持ちが分かった。

 

 

 

男性恐怖症

3人目の出会った人妻は見せてもらった写真がなんとなく若槻千夏に似ていたので千夏と呼ぶことにする。年齢は30代後半。子供は3人いる。

千夏とはマッチングしてから特にこれといった深い話もせずサイトでやりとりを5往復ぐらいしてからLINE交換をした。経験上LINEにスムーズに移行できる人とはデートの約束もしやすいのでそのままの勢いで食事に誘ったらOKが出た。

LINEで話している感じは返事は短文だがノリが良くテンションも高かった。自分の中で千夏は若槻千夏なんだというイメージがだんだん出来上がっていった。

店選びは僕に任せるということで今回は初回の反省を活かし個室を予約して本番に挑むことにした。2時間かけて探した店には自信があった。ここでしっかり準備をして本番にはメンタルに余裕のある状態で挑みたい。

合流して実際に会うと見た目は若槻千夏を少しクシャっとした感じだったがそれは想定内だ。それでも可愛い雰囲気はあった。

ただそれよりも想定外だったのが会ってみると千夏はまったく喋らないのだ。質問してもただ返事のみでそのあとのラリーが続かない。

会う前に僕に期待しすぎて想像と違っていたから早く帰りたいのだろうか。自分は写真は複数前載せているし加工もしていないから会った後のギャップは少ないと自負していた分少しテンションが下がってきた。

とりあえず話せそうな話題をさぐっていろんな質問を投げかけてみた。質問の一方通行になるのでこの戦法はあまり好きではないが仕方ない。

「これがカシスオレンジなんだね。美味しい」

質問が一方通行になるし所々訳のわからない感想を言う。

「30代後半でカシスオレンジ知らなない訳ないだろ!」

とすかさず僕は突っ込みを入れた。

そこで千夏は少し自分の身の上話をしてくれた。

「私は20で出産したからほとんどお酒を知らないの、そのあともほとんど家にいたから今新しいことを色々試し中」

少し恥ずかしそうに彼女が言った。

会う場所を千夏の家から一番近い繁華街にしたし、近辺は千夏の地元なのに場所など千夏は全然知らなかった。もしかしたら彼女話したくないんじゃなくて。ただ人との関わり方を忘れてしまったのではないのだろうか。

なぜか僕は勝手にそのような妄想をするようになっていた。

千夏が喋りやすいようにとりあえず自分の家庭の話をして彼女の家庭についても質問をしたらやっと話せる話題になったからか色々自分から話してくれるようになった。

「私って男性恐怖症なの」

とそこで思いがけないパワーワードが飛び出してきた。

「どういうこと!?今こうやって僕と会ってるじゃん」

一瞬何を言っているのかよく分からなかった。そんなにお酒も飲んでないのにこれは意外だった。

「旦那がセックスばかりで嫌になったの」

詳しく聞いてみると千夏の旦那はセックスが大好きで旦那に毎日求められていたという。しかもそれはエスカレートして子供が泣いていても

「すぐ終わるから」

としてきたり、生理や体調が悪い日も当たり前のように身体を求めてきた。

その時の一番の恐怖が子供とお風呂に入る時だったという。子供と旦那と3人で入ると先に子供が風呂から出たら必ずそこでセックスが始まるのである。だから千夏のなかではいかに子供が出るタイミングで子供と一緒に風呂から出れるかが大事だったのである。

結局求められすぎて他の男性の声を聞くだけで涙が出るような状態までなったり、旦那が家にいるだけで震えたりするようになったのだという。

そしてこのままではだめだと思って。

「私がこのままだと精神的におかしくなるからあなたとはもうセックスしたくない」

と意を決して旦那に伝えたところ、それは病気だから病院に行けと言われ、セックスしたくないのは女として終わっていると言われたのである。

だたその後、さすがにそんな彼女の精神状態を見て旦那も寝室を別々にして寝ることを渋々認め、今はなんとか落ち着いている。

正直ここまでの話を聞いていてこっちまでかなり嫌な気分になった。前に出会った人たちもそれなりに旦那の愚痴は言っていたがそこまで拒否感は示していなく、話を聞いているこっちまで鬱になりそうだった。

ここまできたら千夏は留まるところを知らず僕の家族についても聞いて離婚は早ければ早い方がいいよと離婚まで勧めてくる。

余計なお世話だ。

とりあえず話題を変えようと思ってなぜ不倫相手を探しているのか聞いてみることにした。

「周りの友達がみんなセカンドパートナーいるの」

「だから私も欲しくなっちゃって、新しい人生歩みたいしね」

ここまでの話もちょっと衝撃的だったが。不倫はそんなに一般的なのか!?少なくとも僕の周りではそんな人ほとんど聞かない。みんな黙っているだけなのだろうか。

と同時に男性恐怖症じゃないのかよとここでも突っこんだが結局千夏からはそれらしい不倫相手を探している理由はそれ以上出てこなかった。

とりあえずそこそこ話したしこれ以上どんな嫌な話が出てくるか分からなかったのでいい時間だったこともあり切り上げようとした。

しかしここで千夏がコーヒーが飲みたいと言い出したので近くのカフェに入った。正直女性から言い出すこの流れはお持ち帰りのコースだと思ったがこのままセックスをしてしまうと大変なことになりそうだと危機管理センサーが働いた。

サイトの人妻たちのプロフィールを見ていて分かったのは彼女らは男性よりもリスクを負えないから一人の特定の人を探しているのである。だから関係を持ってしまったら付き合うことになる可能性が高いと思った。

彼女らの方がリスクを犯しているので真剣に相手を探すのも理解ができる。

ただそうすると僕の調査ができなくなってしまう。これは回避しなければならない。

とりあえずコーヒーを飲み終わったので千夏の気持ちには気付かないふりをして解散することにした。

正直今回の千夏との出会いはかなり自分的にはテンションが下がるものだった。話の半分が旦那に無理矢理される話と僕に対しての離婚の勧めである。

 

警戒心の強い女

Y子とやりとりしている間にもう一人の人妻とマッチングした。

こちらはF子としよう。

プロフィールにはセカンドパートナーを探していると堂々と書いている。

話してみてかなり真面目そうな雰囲気が伝わってきたのでこちらも特にぶっ飛んだ話はせず家族や旦那、お互いの趣味の話をした。

F子は旅行やカフェ巡りが趣味で、今はOLとして働いているとのこと。それなりの大学を出ているし旅行もいろんな場所に行っていて話が面白い。話しているうちに写真も見せてもらった。黒髪ロングにした石田ゆりこにどことなく似ている。ちょっと期待してなんとかF子と会ってみたいと思うようになった。

話のラリーが続き、返信の頻度も適度に一日3回ほどだったので数日この調子でラリーを続けてご飯に誘ったらOKがでた。

店については前回の反省を活かし、こちらで探すと伝え個室を何軒かチョイスをしてF子に送った。相手に探してもらうのが無難かむしれないがここは自分のやる気を見せた方がいいと思った。

ただ、ここから前に会ったY子と行動パターンが真逆で僕は困惑してしまった。

まずは連絡先の交換だが、Y子があっさりとLINEを交換してくれたのに対してF子はメールアドレスでの連絡先の交換だった。久しぶりにメールでやりとりすることになり何か懐かしい気持ちになった。

店についても候補を複数送ったが結局提案した店は選ばれず、F子がお店を提案してきた。しかももう予約完了したとのことだった。真面目だが強引なところもあってF子のギャップに驚いた。店は雑居ビルの個室のみの落ち着いた店だった。不倫するきは本来こういう店で会うものだと勉強になった。さらに会える時間も普段あまり遅く家に帰らないため2時間ちょっとが限界とのこだ。集合ももちろんお店に現地集合した。

F子の警戒心が強すぎてY子との出会いで多少和らいだ僕の出会いに対する緊張感のボルテージが上がっていく。完全に忘れていた。これは既婚者との出会いで相手は不倫相手を探しているのだ。

会う前日からも

「明日大丈夫そう?厳しくなったら全然言ってね」

とプレッシャーをかけてくる。

もちろん当日になってからも

「今日大丈夫?仕事は定時で終わりそう?」

と追撃の手を緩めることはしない。

会う当日になって、昼過ぎぐらいからF子のプレッシャーで緊張して仕事が手につかなかった。手汗でペンが滑る。

僕は不倫という出会いをマッチングアプリ感覚で捉えてしまっていたと反省した。改めて自分の考えは甘かったのだと思った。

定時になり動揺を職場の同僚に悟られないようにさっさと職場を後にして集合のお店に向かった。

そこにF子はすでに座っていた。緊張でF子の姿を想像するのを忘れていたが、本人に会ってみると加工は一切なく写真通りだった。身長も165cmほどありスリムな美人だ。

とりあえず時間が限られているからいつも通り軽く自分の自己紹介をしてからF子も自己紹介をした。そこから掘り下げるようにいろいろ質問するようにした。

「旦那はthe仕事人間なの」

F子は旦那と娘2人の4人家族で旦那は仕事ばかりで一切家事等は手伝ってくれないとのこと。この部分はY子にも共通する部分であったがF子の場合は共働きのためこの不公平感で余計嫌になっているようだ。そのためF子は旦那に諦めのような気持ちになり仕事ばかりの旦那と家庭内での会話もほとんどないとのこと。最後に旦那といつ出かけたのかも覚えていないそうだ。もう旦那に対して完全に諦めの気持ちが強く何も言うつもりもない。

「私今の旦那としか経験がないのよ、もっと恋愛経験があったらもしかしたらセカンドパートナーを探さなかったかもしれないけどこのまま女として終わりたくなくて・・・」

不倫についての話になったときにふとF子からこんなフレーズが出た。

この言葉によりF子のここまでの警戒心についても納得ができた。と同時にここまでしてF子を不倫に走らせる原動力に対してなんとも言えない気持ちになった。

恐らく夫が仕事人間の家庭は少なからずこういう問題に直面しているのかもしれない。

F子は娘たちを習い事にも行かせ、家事もこなしつつ仕事もしている。はたから見たら完璧な妻だ。だが、そんな完璧な人でも、いやもしかしたらそのような環境におかれているからこそ不倫をしようとするのかもしれない。

「だから私は身体の関係だけでなくデートとかいろいろしたいの。すべてを経験したいの」

F子はストレートに伝えてきた。

Y子と似ているようでこの人にもいろいろ悩みがあるのだ。

このまま話していると時間になり店を出ることになった。帰りは同じ駅からだったがここは僕が気を使ってちょっと別のところで用事があるからと違う駅から帰ることにした。

こうして僕の2回目の出会いは終わった。

 

 

初めての出会い

一人目の出会いはY子。プロフの写真は長谷川京子から少し色気を取ったような綺麗めな女性だった。30代後半。身長は160cm。

サイトを始めてから何人かとマッチングして複数人とやりとりをしている中でY子とは他愛もない会話を一週間くらいして雰囲気的に誘えそうだったので飲みに誘ったら3日ほど遅れてオッケーの返事がきた。

お店を予約して駅で待ち合わせをした。しかし時間が過ぎてもY子は現れない。連絡もこない。

やはり自分が思っていた通り、このサイトにはサクラばかりで僕はこの直接話したこともないY子にブッちされたのだろう。段々自分が惨めになり、悔しがっていた矢先、こちらに小走りで一人の女性が走ってきた。僕を見ていたので一発でY子だと確信した。

喜んだのもつかの間、残念ながら写真とはかなり見た目が違っておりどちらかと言えば光浦靖子に色気を加えた感じの女性だった。これはマッチングアプリだということを完全に忘れていた。既婚者だってアプリで写真を加工して自分を綺麗に見せたいのだ。

「遅くなってごめん、写真よりかっこいいね。あと私今日薬飲んでるからお酒飲めないんだー」

謝りはしたが悪びれている感じはせず、むしろ会話からして出会いには慣れてそうだ。しかもしっかりとこっちを警戒してくる。

そのまま一緒に歩きながら居酒屋に向かうが、店に着いて席に通された瞬間に致命的なミスに気付いた。

席の隣との間隔が狭く隣に会話が丸聞こえなのだ。周りの目のこともあるしよく考えたら個室がいいに決まってる。お店は頑張ってお洒落なところを予約したがこれは普通のマッチングアプリの出会いとは違うのだ。

急にとんでもない量の脇汗が出てきた。

どんなトーンで話せばいいか迷ったが、それでも僕は平静を装った。

とりあえずここは他愛もない普通のマッチングアプリのような自己紹介から入ることにした。

「改めて初めまして。ぽちょです。」

「ぽちょね。じゃあぽちょ君と呼ぶね。で、ぽちょ君は奥さんとの関係はどうなの?」

こっちの自己紹介がまだ終わらないのにY子は周りを気にせず普通の家庭の話をし始めた。

僕の心配を他所にY子はよくしゃべる!隣席との距離も気にせず家族の話や不倫をしようと思った理由を話す。こちらが聞いてもいないことを止まらず喋る。

そして気が付いたら両隣の中年サラリーマン二人組とカップルが会話を止めて僕たちの会話に聞き耳をたてている。

会う前にどうやって情報を聞き出そうか考えていたが無用な心配だった。

情報量が多いので簡単にY子について簡単にまとめると以下の内容となった。

Y子は他県から来ており、知り合いがほとんどおらず親や旦那の助けなしで子供を3人育てた。よってそこの部分はかなり自信を持っている。

旦那は現在単身赴任中で子供との4人の生活は旦那がいない状態で成り立っている。だから旦那が帰ってきたときは中途半端に子供の仕事を奪う形で家事の手伝いをされると逆に生活のリズムが狂ってしまいそのことをストレスと感じている。

正直、男側の意見としては家族のために単身赴任までして頑張っている旦那が少し気の毒だった。本人は意図して単身赴任しているわけではないのにと思ったがここでY子にそのこを伝えるともちろん気を悪くするので黙って続きを聞くことにした。

一度彼女が熱を出しているときに、旦那が自分の分だけ晩御飯を買ってきて、「今日はごはん作らなくてもいいよ。これで今日の家事の負担が減ったでしょ?」とどや顔で言ってきてからこの人には何言っても無駄だと思うようになり、諦めて怒らないようにしているが、それもストレスになりそのため旦那が最近家に帰ってくると頭痛がするとのこと。これはかなり末期に近い状況だと思った。

なので旦那がゴルフに行こうが、飲みに行こうが無関心になりもうどうでもいいとのこと。

「昔は旦那とお義父さんとコミュニケーションを頑張ろうとゴルフまで始めたけど、もうゴルフも辞めようかな~」

と言って僕にゴルフ券までくれた。

ただ旦那としてはそのような状況には気づいており、気にもしているので彼女の人生の中に自分も含めて欲しいということをストレートに言ってくる。

ここでも男側の意見としては旦那がそこまで気にしているのであれば黙っていないでストレートに旦那にしてほしいことや改善してほしいことを伝えたらまた旦那も変わってくれるのではないかと思ったが僕の立場で彼女に何を言おうが意味はないのだろう。

不倫をしようと思った決め手は自分の実家に旦那と帰省したときに父親の前で自分に対する不満を旦那に言われ、「今日は酒が進むな~」と止めの一発を刺されたことにより彼女は号泣してしまい、そのまま実家を飛び出した。

そこから自分の人生はこのままでいいのかと思い悩むようになり。とうとうセカンドパートナーを探す決意をしてサイトに登録したとのこと。

ついでに補足しておくが、なぜかこのサイトではみんな女性側は不倫相手と言わずにセカンドパートナーと呼んでいる。そう呼んだ方が自分の罪悪感がなくなるのだろうか・・・

また、性の事情については旦那は太っており、そのため太っている人とはセックスはしたくないとのこと。旦那にはもう近づきたくないから1年以上レスが続いている。

Y子と話してみて旦那とは関係は崩壊しており、修復は難しいような状態ではないかと思ったと同時にY子もこの状況が危ないことは理解しておりただどうしようもないから誰かにとりあえず話を聞いてもらいたいのだろうと思った。

実際、Y子とも話していて

「こういう話は身近な人にはできないね。かと言って知らない人も全然理解してくれないし、既婚者同士の適度な距離感の人に一番話せるよね」

という話になった。

結局3時間ぐらい話して、Y子は家事があるから少し暗い夜道を散歩して解散するすることにした。

初めての出会いは久しぶりのマッチングアプリ&不倫ということもありかなり緊張したが、その反面今までの普通のマッチングアプリとは全く違う背景で女性が登録しており面白かった。

次回への反省点は個室を予約すること。